なる法どう?
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行政書士 二瓶裕史
信州大学を卒業と同時に平成14年「行政書士二瓶事務所」開業。消費者問題・NPO法人の設立からサポートまでを主業務としていたが、近年はより幅広く市民生活サポート、起業家支援に力を入れている。また、積極的に講師業も行っている。


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意外と知られていませんが法律はあなたの身近なものです。
このコーナーではそんな法律を紹介します。得するかも?
「日常生活の約束事“契約”」

 「契約」という言葉を聞くと、「分厚い契約書」「小さな文字の契約書」「法律用語満載」「漢字ばっかり」っていう、いまいち「明るくないイメージ」ばかりが頭に思い浮かぶのではないでしょうか。さらに進んで、「裁判」とかいう穏やかでない単語を思い浮かべる方もいるかもしれませんね。いったい「契約」ってなんなのでしょう。

 契約・・・。うん、聞いたことある。でも、「契約って○○ってことです」って感じにサラサラと答えられる人も多くはないかと思います。日常生活でぜんぜん意識していなくても、この「契約」ということにとってもたくさん関わっています。

 ちょっとAさんのある一日を見てみましょう。

 朝起きて、学校に行く途中で昼食用のパンを買おうと思ったけどお金が足りなくて一緒に居た友達に1,000円借りてパンとジュースを購入。学校に到着すると、鉛筆を忘れた友人に、「1本ちょうだい」と言われたので「いいよ」と、1本あげる。授業が終わり、家に帰る途中にお金が落ちてたので拾って持って帰る。

 さてさて、このなんてことない1日を振り返ってみます。法律って自分には身近ではなく、遠い存在だと思っている人もたくさんいるかもしれませんが、こんなちょっとした数行の文章ですが、たくさん法律的な出来事が書かれています。

 まず、友達からお金を借りるということは「金銭消費貸借契約(民法587条)」といいます。さらに、パンを購入することは「売買契約(民法555条)」、鉛筆をあげることは「贈与契約(民法549条)」。

 こんな日常的な行為が立派な契約(法律)行為なんですね。さらに、契約とはちょっと離れますが、落ちてたお金を持って帰っちゃうこと、いわゆる「ネコババ」は刑法254条の「遺失物横領罪(占有離脱物横領罪)」になる可能性があります。
 遠くの存在だと思っていた法律、身近に感じてきましたね。

 さて、話を戻して「契約」についてです。契約というのは原則として「申込」の意思表示と「承諾」の意思表示によって成立します。「売ります」「買います」、ということですね。そして、一度言ったことは実行しなければいけないというのが自然な流れなので、いったん成立した契約というのも何とかして実行しなければいけないのが原則です。つまり本来契約とは「口約束でも成立!」なのです。「契約書に判を押してないから大丈夫」とか「契約書もらってないから大丈夫」なんてのはまったく意味のない自信になってしまいます。約束を守らなければ、それなりのペナルティがあるのも当然です。ときには損害賠償請求されることも。

 しかし、近年増加している悪徳商法による被害者を救済するためにはなんでもかんでも原則どおりにするわけにはいかなくなってきました。どういうことかというと、訪問販売のときに断ったにも関わらず脅されて仕方なく契約書にサインをし契約成立。いったん成立した契約なんだからちゃんとお金を払いなさい、というのではあまりに酷ですね。

 また、販売する側というのはその商品に対する知識も豊富ですし巧みなセールストークの技術も持っています(業者と消費者の間の“知識と交渉力の差”)。「ついつい」消費者が契約してしまうように話の流れを持っていかれ、その後、冷静になって考え直してみると、ぜんぜん必要のないものだった・・・

 こういった場合に、消費者を保護するためにさまざまな規定があります。「業者VS消費者」の優越関係は目に見えてますね。情報量・交渉技術。そこで訪問販売・電話勧誘販売など、消費者が不意打ちをくらうような販売方法の場合には、法律で業者に対してさまざまな義務を課しています。ありがたいことですね。

 ただ、こういった法律があるにも関わらず、業者は無知な消費者をいいことに法律を守ろうとはしません。そこで、そんな業者がいたら言ってやりましょう。「おたく、○○法××条違反だよ」と。そんな言葉が言えるように、これから勉強していきましょう。まずは、敵を知らなくてはいけません。これから先、どんな手口があるのか見ていきます。

 と、またもや話がそれだしましたが、契約とはつまり、日常生活の約束事。約束なんだから守らなきゃいけない。守らなければそれなりの覚悟が必要ですよ、ということ。ただ、消費者を保護するための特別な規定もあるので、騙されたり・脅されたり・冷静に判断できなかった一定の契約形態では解約できることもあるので、注意が必要です。

 そして、意外と身近な話で、難しい話ではないってことですね。
次回は、その「一定の契約形態」に関する話、「悪徳商法なんて怖くない!」について掲載予定です。お楽しみに。
2008/06/16 UP