なる法どう?
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行政書士 二瓶裕史
信州大学を卒業と同時に平成14年「行政書士二瓶事務所」開業。消費者問題・NPO法人の設立からサポートまでを主業務としていたが、近年はより幅広く市民生活サポート、起業家支援に力を入れている。また、積極的に講師業も行っている。


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意外と知られていませんが法律はあなたの身近なものです。
このコーナーではそんな法律を紹介します。得するかも?
マルチ商法。

 名前だけは聞いたことがありそうですが、「では、どんなの?」

 と聞かれるとなかなかうまく答えられませんね。「ねずみ講」とゴッチャになってる方も多そうです。この「マルチ商法」、六法をいくらパラパラ開いて見てみても、どこにも出てこないんです。実は「特定商取引法」という法律にあるのですが、法律上の名称は「連鎖販売取引」といいます。

 なんとな〜く、イメージが掴めそうな名前ですね。

 内閣府発行の「ハンドブック消費者」には、「連鎖販売取引(いわゆるマルチ商法)とは、販売組織の加盟者が消費者を組織に加入させ、さらにその消費者に別の消費者を組織に加入させることを次々に行うことにより組織をピラミッド式に拡大していく商法」と説明されています。

 具体的に問題となるものは浄水器や健康・美容食品(器具)が多いですね。また最近ではFAX機器でも問題になっているものがあります。どんな商法かといいますと、ある商品を販売する組織の会員となって、

 「君が新たに会員を連れてきたら○○円の利益になる」

 ということをいわれ、一生懸命に知人に声をかけてしつこく入会をせまるものです。

 みなさんも一度は経験したことがあるかもしれません。なんとも怪しい健康食品を持った昔の同級生が、

 「これ、すごく体にいいんだよ。ちょっと試してみない? で、よかったらこれを扱ってる××の会員になってみない? 会員になるとね、君が今度また別の人を探して、その人が入会すると○○円もらえて、がんばれば短期間でいい稼ぎになるよ。」

さらには、
 「確実に儲かるよ!!」

 なんてことを言います。怪しいですねぇ(確実に儲かるならみんなやってるよ!)。

  この商法、若い学生や社会人、主婦なんかが非常に多く被害者になっています。自分の知人が「騙されている」と思っても、本人は騙されている気がないから、なかなかやめさせることができないんです。それが元で友人関係が壊れてしまった、ということも多くあるようです。また逆に、断っても断ってもしつこく勧誘するので友人関係がおかしくなるということも。

  どちらにしても、結局いいことはありませんね。

 どうすればマルチにはまった友人を説得できるのでしょうか。これはもう、その人のことを親身に考えて気長に説得するしかない、としか言えません。まずは

 「儲かるなんてウソだし、それはマルチ商法だ」

 と言うことを気が付かせてあげなければなりません。専門家のところに連れて行って、説明をしてもらうのもいいかもしれませんね。

  また、このマルチ商法に関してもクーリングオフの適用を受けることができます。

  こういった後ろめたい商法をしているところは法定の書面を交付していない場合も多く、クーリングオフ期間が経過していたとしても解約することができるかもしれません。

 とにかく「うまい話」には気をつけましょう。

※マルチ商法そのものは、違法ではありません。ネットワークビジネスというれっきとしたビジネス形態です。すばらしい商品を扱っている会社ももちろんありますし、商品そのものの素晴らしさに惹かれて活用している方も多くいらっしゃいます。
ただ、問題になるのは、自己の利益を追求するあまり、他人に対して強引な勧誘や、虚偽の説明等を用いられることがあり、その点においては違法であり、社会問題化する原因となっています。契約するかしないか、最終的には自己責任になりますが、十分に吟味をし、後悔のない選択をしてください。

次回は、資格商法についてです。