なる法どう?
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行政書士 二瓶裕史
信州大学を卒業と同時に平成14年「行政書士二瓶事務所」開業。消費者問題・NPO法人の設立からサポートまでを主業務としていたが、近年はより幅広く市民生活サポート、起業家支援に力を入れている。また、積極的に講師業も行っている。


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意外と知られていませんが法律はあなたの身近なものです。
このコーナーではそんな法律を紹介します。得するかも?
多くもらったお釣は返す?

今回は、成ちゃんと法くんに出演してもらい、多くもらってしまったお釣について話をしてもらいました。
成ちゃん:25歳のOLさん。法律には興味があるけど、あまり難しい話は嫌い。
法くん:ちょっと法律をかじったことのある、親切な28歳。

成ちゃん「このあいだ、買い物したときにレジでお金を払ったら、本当は3000円のお釣りなのに、お釣を4000円ももらっちゃった。本当は返さなきゃいけないとは思ったんだけど、ついつい気が付かない振りをしてそのまま貰って帰ってきちゃった。何か法律的に問題になるの?」

法くん「いいなぁ。多めにお釣りを貰ったときなんかは「ラッキーっ!」って感じでありがたく頂戴したくなっちゃう気持ち、よく分かるよ。 でも、法律上何か問題はありそうだよね。成ちゃんの相談みたいに、多く貰ったお釣りに気が付いたにも関わらず、返さないで持って帰っちゃうことを俗に「釣銭詐欺」って言うんだよ。この言葉からも分かると思うんだけど、このケースは刑法上の詐欺罪に該当する可能性がるんだよ。」

成ちゃん「ええ〜っ、詐欺罪!!」

法くん「うん。詐欺罪が成立するためには、ちょっとだけムズカシイ話だけど、@相手を欺く(あざむく)行為があり、それによりA相手方が錯誤に陥り、B財物や利益の移転がなされ、C損害が発生する、といった要件が必要になるんだよ。 成ちゃんのケースでは、積極的な「欺く」言動や挙動はないんだけど、現在発生している錯誤を放置したっていうことが「不作為による欺く行為」って解釈されちゃって、それで本来よりも多くの金銭が(お釣りとして)支払われたということで、お店側に損害が発生しているよね。先に書いたとおりの条件が揃ってるように見えるかな。 つまり、金銭を受け取る者には、今回のように釣銭が多かった場合に、釣銭が多いということを告知する義務があるってことになんだよね。ツライ話だけど。」

成ちゃん「多くの人が身に覚えのあるようなこと、こんなどこにでもある出来事が刑法に定めのある詐欺罪だなんて、ビックリ!」

法くん「そうだよね。参考までに刑法第246条第1項「詐欺罪」の条文を見てみよう。『人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。』せっかくなので、第2項も。『前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にそれを得させた者も、同項と同様とする。』

成ちゃん「法律って、ホントに身近なものなんだね。」


2010/02/20 UP