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行政書士 二瓶裕史
信州大学を卒業と同時に平成14年「行政書士二瓶事務所」開業。消費者問題・NPO法人の設立からサポートまでを主業務としていたが、近年はより幅広く市民生活サポート、起業家支援に力を入れている。また、積極的に講師業も行っている。
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意外と知られていませんが法律はあなたの身近なものです。
このコーナーではそんな法律を紹介します。得するかも?
○飼い主の責任
いつも元気な「成(なる)ちゃん」が道路で倒れている!
そこを通りかかったのは、友達の「法(ほう)くん」。
成ちゃん「う゛~、イテテテテ。 痛いよ~!!」
法くん「どうしたんですか? 大丈夫ですか? ・・・って、成ちゃん!! どうしたの?」
成ちゃん「イテテテ・・・。ちょっと聞いてよ! いま、リードをつけてない犬が突然とびかかってきて、私の腕をガブリ。 このとおりだよ。 お嫁に行けなくなっちゃうよ!」
法くん「お嫁に・・・。って、そんなことより医者に行かなくちゃ!」
成ちゃん「でも・・・、でも・・・(モジモジ)。」
法くん「どうしたの、成ちゃん! いつもの勢いは、どこに行っちゃったの?」
成ちゃん「えっと~、こないだ、バッグを買って、服を買って、おいしいご飯も食べて・・・。そして今日は“居酒屋ナルホドー”で飲み会なんだよ。」
法くん「それが、なにか?」
成ちゃん「だからぁ! お金がないんだよっ!!」
法くん「あの~、成ちゃん。確か、お給料日はおとといだよね? それで、次のお給料日まで暮らせるの?」
成ちゃん「痛いよ~。イタイヨ~。」
法くん「仕方ないなぁ。お金のない成ちゃんに、いいこと教えてあげるよ。その、成ちゃんの腕をガブリ噛んだ犬の飼い主は誰だか分かるの?」
成ちゃん「うん。わかるよ。いつも放し飼いなんだよ!」
法くん「なるほどね。じゃあ、民法718条ってのを教えてあげよう!」
成ちゃん「う、うん。」
法くん「動物の占有者等の責任ってことで、こういうことが書かれてるんだよ。」
第718条(動物の占有者等の責任)
- 動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。
ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない。 - 占有者に代わって動物を管理する者も、前項の責任を負う。
成ちゃん「なんかお金の匂いがするねぇ。くんくん。」
法くん「成ちゃん・・・。 怪我して心配だから教えてあげてるんだけど。 なんか元気そうだよね。しかも、悪用して飼い主に因縁つけそうだよね・・・。」
成ちゃん「そ、そんなことないよ。 ホントに痛いんだし。 イテテテ・・・。ね! 続き、教えてよ!」
法くん「つまり、犬の飼い主は、その犬が他人に加えた損害があった場合には、賠償する責任があるってこと。治療費や慰謝料のことね。 でも、『相当の注意』を払っていた場合には、その責任がなくなるってことなんだよ。今回のことを考えてみると、リードを付けずに放し飼いしていたってことは、『相当の注意』を払って飼い犬の管理をしていたとは言い難いから、被害者である成ちゃんは、犬の飼い主に損害賠償の請求をすることができる可能性があるってことね。」
成ちゃん「やったぁ。」
法くん「あ、でも、必ずもらえるってわけじゃないからね。具体的な案件ごと、個別に判断されることだからね。しかも、相手が認めなかったら裁判になったり・・・、って、成ちゃん聞いてるの??」
成ちゃん「聞いてるよ。 でも、大丈夫なの。」
法くん「なにが?」
成ちゃん「簡単に請求できるから大丈夫なの。」
法くん「なんで? 交渉とか、裁判とか、甘く考えてるでしょ。」
成ちゃん「そんなことないよ。でも、私が言えば支払ってもらえるんだもん! だって、私に噛みついた犬は、法くんの家のドンちゃん(犬)だもん。」
法くん「・・・。」
2012/02/20 UP