<心を揺さぶる上映会>FROM EAST
〜協力〜
fromEast
長野県塩尻市大門4-4-8
Tel:0263-52-0515
〜執筆者紹介〜
映画コラムニストの合木こずえです。
映画館で生まれ育ち、役者を目指して 進学し、 結局映画の仕事に戻ったはぐれ者です。
生まれた時からスク リーンの前にいるので、 数限りなく観た映画のシーンが常に頭を駆け巡り、 現実の中にそれを求めて落胆ばかりしています。

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FROM EASTは、
1995年に一旦東京を引き揚げて来たときに作った上映会です。
フランス映画やイギリス映画が大好きなので、
渋谷のBunkamuraル・シネマや銀座のシネ・スイッチ、
日比谷のシャンテ・シネなどで上映される作品を選定して、
日本映画の秀作も織り交ぜ、毎月1本〜2本、
1週間または2週間と限定して上映しています。
「マルタのやさしい刺繍」1時間29分
2月21日から27日まで 毎日10:30と20:30

スイスから届いたそれはそれはステキな映画。前回のアカデミー賞外国語映画賞にスイスの代表作品として選出され、東京の公開時には大入り満員の会報が出るほどの人気を博した。

マルタのやさしい刺繍
長年連れ添った夫を亡くしたおばあちゃんは、来る日も来る日も悲しみに暮れ、生きる気力を無くしていた。
彼女を励ます美容師は、自分の過去を語りつつ、昔の夢を復活させるべきとけしかける。
実はおばあちゃんには、すばらしい裁縫の才能があったのだ。彼女の夢はランジェリーショップを開くこと。
やわらかな布を選びデザインし、刺繍をほどこす。あっという間に感覚を思い出したおばあちゃんは、堰を切ったように美しいランジェリーを完成させ店をオープンする。ところが息子は大反対。
いい年をしてみっともないと、保守的な態度で邪魔をする。素晴らしいのは、ヒロインのおばあちゃんだけでなく、彼女を取り巻く回りの存在だ。ある老女は、体の不自由な夫を病院に連れて行くため、その年ではじめて運転免許を取ろうと奮闘する。またある女性は、パソコン教室に通いはじめ、インターネットでランジェリーショップを宣伝しようと試みる。
人に何と言われようとも、自分の人生。夢をあきらめずとにかく突き進む。多大なる勇気と希望を与えてくれる世にも温かい傑作に心から拍手を送りたい。


「マルタのやさしい刺繍」
スイス映画/1時間29分 監督:ベティナ・オベルリ
出演:シュテファニー・グラーザー、ハイジ・マリア・グレスナー
2月21日から27日まで 毎日10:30と20:30
料金 当日券(一般)1,700円 前売券1,300円(電話予約可)0263-52-0515
於:塩尻・東座(駐車場完備)



〜映画の見方メモ〜
 私の上映会には「通りすがりに時間つぶしのために、ふらっと立ち寄る」方はいません。皆さん、この日は映画を見る、と計画し、スケジュール調整し仕事や家事を片付けてわざわざ来て下さる映画ファンばかりです。ですから当然ながら携帯電話の電源は切って下さいますし、上映中の私語や物音も極力慎んでいらっしゃいます。それは映画に限らず、他人と芸術を共有する場合の最低限の決まり事です。でも芝居やコンサートを観に行くと、必ず無神経な音を出したり携帯の画面を光らせたりする方がいます。そういう方は多分プライオリティーが「そこ」にはないのでしょう。だったら来ないで下さいと言いたくなりますね。ひとつの素晴らしい芸術を他人と一緒に味わう、という歓びは、マナーを守るという思いやりがあってこその感動だと私は思います。



2009/01/26 UP