<心を揺さぶる上映会>FROM EAST
〜協力〜
fromEast
長野県塩尻市大門4-4-8
Tel:0263-52-0515
〜執筆者紹介〜
映画コラムニストの合木こずえです。
映画館で生まれ育ち、役者を目指して 進学し、 結局映画の仕事に戻ったはぐれ者です。
生まれた時からスク リーンの前にいるので、 数限りなく観た映画のシーンが常に頭を駆け巡り、 現実の中にそれを求めて落胆ばかりしています。

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FROM EASTは、
1995年に一旦東京を引き揚げて来たときに作った上映会です。
フランス映画やイギリス映画が大好きなので、
渋谷のBunkamuraル・シネマや銀座のシネ・スイッチ、
日比谷のシャンテ・シネなどで上映される作品を選定して、
日本映画の秀作も織り交ぜ、毎月1本〜2本、
1週間または2週間と限定して上映しています。
キャラメル
「キャラメル」1時間36分
5/16(土)〜22(金)  毎日20:30(平日10:30〜の回あり)

大量の砂糖に水とレモン汁を混ぜ火にかけて練りあげる。冒頭、映し出される黄金色のキャラメルにその甘い香りと味を思い出す。しかし、これは食べるためではなく、女性の脱毛に使うワックス代わり。
レバノンでは昔も今も、女性たちはキャラメルを塗っては勢い良くはがし、痛みを堪えて美を保ってきた。
まるで人生のようだ。

キャラメル
ベイルートの小さなエステティックサロンが舞台。オーナーのラヤールを演じているのが、監督でもあるナディーン・ラバキーである。戦争の面影しかないこの街で、あえて女性の自立や結婚、恋愛のみに光をあて、抑圧された女性たちの解放と、逞しい意志を礼賛した。演じている女性たちは、ナディーン以外すべて素人だ。ナディーンは、リアリティをもたらすため、時間をかけて役柄に合った人物を街なかから探してきたという。だが、どの女性も演技経験がないとは思えないほど、生き生きと自然に演じている。
キャラメル
妻子ある男に振り回されるラヤールをはじめ、結婚直前に処女でないことを気にするイスラム教の美容師、女優への夢を追いかける中年女性、認知症の姉を抱えて謙虚に生きる仕立て屋の女主人。登場する女性たちの心の痛みは、すべてこの胸で理解し共感できる。「痛みを伴う甘さ」を繰り返し身に受けながら、前向きに生きるアラブの女性たちに拍手を送りたい。


「キャラメル」1時間36分
5/16(土)〜22(金)  毎日20:30(平日10:30〜の回あり)
レバノン/フランス/1時間30分 監督:ナディーン・ラバキー
料金:当日(大人)\1,700 前売券\1,300
(電話予約受付中) 0263-52-0515
於:塩尻・東座(駐車場完備)


〜映画の見方メモ〜
 私の上映会には「通りすがりに時間つぶしのために、ふらっと立ち寄る」方はいません。皆さん、この日は映画を見る、と計画し、スケジュール調整し仕事や家事を片付けてわざわざ来て下さる映画ファンばかりです。ですから当然ながら携帯電話の電源は切って下さいますし、上映中の私語や物音も極力慎んでいらっしゃいます。それは映画に限らず、他人と芸術を共有する場合の最低限の決まり事です。でも芝居やコンサートを観に行くと、必ず無神経な音を出したり携帯の画面を光らせたりする方がいます。そういう方は多分プライオリティーが「そこ」にはないのでしょう。だったら来ないで下さいと言いたくなりますね。ひとつの素晴らしい芸術を他人と一緒に味わう、という歓びは、マナーを守るという思いやりがあってこその感動だと私は思います。



2009/05/06 UP