〜執筆者紹介〜
映画コラムニストの合木こずえです。
映画館で生まれ育ち、役者を目指して 進学し、 結局映画の仕事に戻ったはぐれ者です。 生まれた時からスク リーンの前にいるので、 数限りなく観た映画のシーンが常に頭を駆け巡り、 現実の中にそれを求めて落胆ばかりしています。 |
FROM EASTは、
1995年に一旦東京を引き揚げて来たときに作った上映会です。 フランス映画やイギリス映画が大好きなので、 渋谷のBunkamuraル・シネマや銀座のシネ・スイッチ、 日比谷のシャンテ・シネなどで上映される作品を選定して、 日本映画の秀作も織り交ぜ、毎月1本〜2本、 1週間または2週間と限定して上映しています。
FROM EAST上映会6月「潜水服は蝶の夢を見る」
6/14(土)→20(金) 土日は20:30のみ 月〜金は10:30/20:30 当日券(大人)\1,700 前売券\1,300(電話 予約受付中) 突然の闇、思うに任せぬ自分の身体。脳梗塞で倒れたジャン=ドーは、左目だけが唯一動かせる箇所だと知る。だが彼は絶望しなかった。言語療法士の力を借りて、伝えたい言葉のスペルを左目のまばたき で選び、意思表示していったのだ。うんざりするほど根気の要る作業の 末、彼は自伝『潜水服と蝶』を書き上げる。ジャン=ドーは ファッション誌「ELLE」のフランス版の編集長だった。これは彼 の事実に基づく物語。シリアスなテーマからすれば深刻で暗い映像展開 を想像するが、さすがフランス映画。ジャン=ドーの陽気な性格 と環境の明るさで、会話は軽妙、ウィットに富み、病室なのに洒脱な雰 囲気が保たれている。ジャン=ドーに扮したマチュー・アマル リックとマックス・フォン・シドー扮する父親の、父子の関係が素敵 だ。監督は「バスキア」や「夜になるまえに」の鬼才ジュリアン・シュ ナーベル。キャメラは「ミュンヘン」「宇宙戦争」などの大ベテラン、 ヤヌス・カミンスキー。今年セザール賞の最優秀撮影賞を受賞した永田 鉄男が大尊敬する撮影監督だ。
〜映画の見方メモ〜
私の上映会には「通りすがりに時間つぶしのために、ふらっと立ち寄
る」方はいません。皆さん、この日は映画を見る、と計画し、スケ
ジュール調整し仕事や家事を片付けてわざわざ来て下さる映画ファンば
かりです。ですから当然ながら携帯電話の電源は切って下さいますし、
上映中の私語や物音も極力慎んでいらっしゃいます。それは映画に限ら
ず、他人と芸術を共有する場合の最低限の決まり事です。でも芝居やコ
ンサートを観に行くと、必ず無神経な音を出したり携帯の画面を光らせ
たりする方がいます。そういう方は多分プライオリティーが「そこ」に
はないのでしょう。だったら来ないで下さいと言いたくなりますね。ひ
とつの素晴らしい芸術を他人と一緒に味わう、という歓びは、マナーを
守るという思いやりがあってこその感動だと私は思います。
2008/06/2 UP
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