<心を揺さぶる上映会>FROM EAST
〜協力〜
fromEast
長野県塩尻市大門4-4-8
Tel:0263-52-0515
〜執筆者紹介〜
映画コラムニストの合木こずえです。
映画館で生まれ育ち、役者を目指して 進学し、 結局映画の仕事に戻ったはぐれ者です。
生まれた時からスク リーンの前にいるので、 数限りなく観た映画のシーンが常に頭を駆け巡り、 現実の中にそれを求めて落胆ばかりしています。

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FROM EASTは、
1995年に一旦東京を引き揚げて来たときに作った上映会です。
フランス映画やイギリス映画が大好きなので、
渋谷のBunkamuraル・シネマや銀座のシネ・スイッチ、
日比谷のシャンテ・シネなどで上映される作品を選定して、
日本映画の秀作も織り交ぜ、毎月1本〜2本、
1週間または2週間と限定して上映しています。
「クララ・シューマン愛の協奏曲」109分
1月30日(土)から2月5日(金) 毎日 10:30/20:30
19世紀を代表する2大作曲家、ロベルト・シューマンと、ヨハネス・ブラームスに愛されたクララ・シューマンの、波乱に満ちた愛の日々を描く。監督は、ヨハネスの末裔、ヘルマ・サンダース=ブラームス。彼女は、これまでタブーとされていたクララとヨハネスの関係にも踏み込んで、愛の苦しみも映し出している。
これまでクララ・シューマン役は、「愛の調べ」でキャサリン・ヘップバーンが、「哀愁のトロイメライ」でナスターシャ・キンスキーが演じてきたが、今回のマルティナ・ゲデックは、風格と大らかさにおいて、母と妻とピアニストの三役をこなしていたクララに、まさにぴったりの女優だ。さらに彼女は、実際にピアノを特訓して、指づかい、指さばきを習得し、みごとな演奏シーンを披露している。
クララ・シューマン愛の協奏曲
ヨーロッパを演奏旅行で回るクララは、夫ロベルト・シューマンの功績により、デュッセルドルフの大邸宅に移り住む。4人の子どもを育て、頭痛持ちの気難しい夫を支えてきたクララには、料理人や家政婦のいる暮らしは、まるで天国だった。だが、そこで作曲を再開しようとするクララに、夫は「私の妻では不満か」と問いただす。ロベルトはすでに病が悪化し、交響曲「ライン」の作曲もままならない状況に追いやられていた。そこでクララは、夫の代わりに指揮者として楽団の前に立つ。

そんなシューマン一家の前に現れたのが、かねてからクララに憧れていたヨハネス・ブラームスだ。
明るく奔放なヨハネスに子どもたちはなつき、彼の作曲の才能を認めたロベルトは、ともに屋敷で暮らそうと提案する。

クララ・シューマン愛の協奏曲
「ライン」の完成は、クララのみならずヨハネスの支えがあってこそ。
「ライン」第二楽章をヨハネスが弾くシーンは感動的だ。ロベルトは、クララを愛するヨハネスに嫉妬しながらも「ヨハネスを私から奪うな」とクララにぶつける。愛憎と創作欲がせめぎあうロベルトの苦悩が胸をしめつける。そして夫を愛するゆえにがんじがらめになるクララの苦悩もまた、われわれの共感を呼ぶ。

「ライン」の演奏ほか、シューマンの「ピアノ協奏曲イ短調」「幻想小曲集」、ブラームスの「ピアノ・トリオ第1番ロ長調」「子守唄」など、全編にちりばめられた12の名曲にも心を揺さぶられる。


「クララ・シューマン愛の協奏曲」109分
1月30日(土)から2月5日(金) 毎日 10:30/20:30
ドイツ/フランス/ハンガリー 監督:ヘルマ・サンダース=ブラームス
料金:当日(大人)\1,700 前売券\1,300
(電話予約受付中) 0263-52-0515
於:塩尻・東座(駐車場完備)


〜映画の見方メモ〜
 私の上映会には「通りすがりに時間つぶしのために、ふらっと立ち寄る」方はいません。皆さん、この日は映画を見る、と計画し、スケジュール調整し仕事や家事を片付けてわざわざ来て下さる映画ファンばかりです。ですから当然ながら携帯電話の電源は切って下さいますし、上映中の私語や物音も極力慎んでいらっしゃいます。それは映画に限らず、他人と芸術を共有する場合の最低限の決まり事です。でも芝居やコンサートを観に行くと、必ず無神経な音を出したり携帯の画面を光らせたりする方がいます。そういう方は多分プライオリティーが「そこ」にはないのでしょう。だったら来ないで下さいと言いたくなりますね。ひとつの素晴らしい芸術を他人と一緒に味わう、という歓びは、マナーを守るという思いやりがあってこその感動だと私は思います。



2010/01/10 UP