〜執筆者紹介〜
映画コラムニストの合木こずえです。
映画館で生まれ育ち、役者を目指して 進学し、 結局映画の仕事に戻ったはぐれ者です。 生まれた時からスク リーンの前にいるので、 数限りなく観た映画のシーンが常に頭を駆け巡り、 現実の中にそれを求めて落胆ばかりしています。 |
FROM EASTは、
1995年に一旦東京を引き揚げて来たときに作った上映会です。 フランス映画やイギリス映画が大好きなので、 渋谷のBunkamuraル・シネマや銀座のシネ・スイッチ、 日比谷のシャンテ・シネなどで上映される作品を選定して、 日本映画の秀作も織り交ぜ、毎月1本〜2本、 1週間または2週間と限定して上映しています。
FROM EAST上映会の7月作品「ペネロピ」
7/12(土)〜18(金) 「ペネロピ」イギリス映画/1時間41分 裕福な名家の娘ペネロピは、先祖の呪いを身に受けて 豚の鼻を持って生まれてきた。嘆き悲しんだ両親は、 彼女を屋敷の外へは一歩も出さずに大切に育てるが、 やがて名家の息子と結婚すれば呪いが解けると信じ込む。 しかし、集まった花婿候補はペネロピの顔を見るなり 動揺し、そのあからさまな態度はますます彼女を傷つける。 そこへ現れた実直な男エドワード。 彼の優しさはペネロピの心をほぐすが、屋敷の外では彼を 雇った新聞記者が虎視眈々とスクープを狙っていた。 ハンディを背負いながら明るく素直に育ったペネロピの 愛嬌のある表情がとても愛おしい。演ずるクリスティーナ・ リッチの愛くるしさは、絵本の中のお姫様を思わせて、観る ほどに鼻の形など気にならなくなってくる。 悲しみから逃れようと、生まれてはじめて屋敷を出た彼女が、 戸惑いながら自立心に目覚めてゆく姿に、本当の幸せを求めて もがく自分を投影する。 相手役は今をときめくジェームズ・マカヴォイ。 彼の知的な眼差しは、ペネロピを飛び越えて、女性たちの ハートを射抜くことだろう。 キュートな衣装にオリエンタルな装飾と背景、色合いも 鮮やかなおとぎ話の世界にようこそ。ありのままの自分を あらためて好きになれます。 7/12(土)〜18(金) 毎 10:30〜 20:30〜 当日券(大人)\1,700 前売券\1,300(電話 予約受付中)
〜映画の見方メモ〜
私の上映会には「通りすがりに時間つぶしのために、ふらっと立ち寄
る」方はいません。皆さん、この日は映画を見る、と計画し、スケ
ジュール調整し仕事や家事を片付けてわざわざ来て下さる映画ファンば
かりです。ですから当然ながら携帯電話の電源は切って下さいますし、
上映中の私語や物音も極力慎んでいらっしゃいます。それは映画に限ら
ず、他人と芸術を共有する場合の最低限の決まり事です。でも芝居やコ
ンサートを観に行くと、必ず無神経な音を出したり携帯の画面を光らせ
たりする方がいます。そういう方は多分プライオリティーが「そこ」に
はないのでしょう。だったら来ないで下さいと言いたくなりますね。ひ
とつの素晴らしい芸術を他人と一緒に味わう、という歓びは、マナーを
守るという思いやりがあってこその感動だと私は思います。
2008/06/23 UP
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