<心を揺さぶる上映会>FROM EAST
〜協力〜
fromEast
長野県塩尻市大門4-4-8
Tel:0263-52-0515
〜執筆者紹介〜
映画コラムニストの合木こずえです。
映画館で生まれ育ち、役者を目指して 進学し、 結局映画の仕事に戻ったはぐれ者です。
生まれた時からスク リーンの前にいるので、 数限りなく観た映画のシーンが常に頭を駆け巡り、 現実の中にそれを求めて落胆ばかりしています。

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FROM EASTは、
1995年に一旦東京を引き揚げて来たときに作った上映会です。
フランス映画やイギリス映画が大好きなので、
渋谷のBunkamuraル・シネマや銀座のシネ・スイッチ、
日比谷のシャンテ・シネなどで上映される作品を選定して、
日本映画の秀作も織り交ぜ、毎月1本〜2本、
1週間または2週間と限定して上映しています。
オーケストラ!(La Concert) フランス映画/2時間4分
2月12日から18日まで
毎日10時と20時30分
料金-当日券(大人)1,700円

オーケストラ!(La Concert)
長い人生において、血わき肉踊る興奮は、いったい何度味わえるだろうか。音楽、とりわけクラシックの名演奏には、人を体ごと揺さぶる力があるが、そこに音楽家たちの内なる情熱や波乱に満ちた生き様が見えると、さらに予想もつかない高揚と歓喜が押し寄せてくる。
「オーケストラ」は、まさにそんな興奮を観客に与える傑作映画、とりわけクライマックスの演奏シーンは、演技者と観客が一体化しトランス状態を生み出すほどすばらしい。
舞台は現代のロシア。ボリショイ交響楽団の劇場で、清掃員として働くアンドレイは、30年前まで楽団の主席を務める著名な指揮者だった。当時彼は、共産主義のユダヤ人差別に反発したため、ユダヤ系の演奏家とともに解雇されてしまったのだ。そんなある日、彼はパリの劇場が、急遽キャンセルした交響楽団の代わりを探ているという情報を得る。そこで思いついたのが、ボリショイの名を騙って渡仏し復帰すること。かくしてアンドレイはモスクワの街に散らばった昔の仲間たちを集め始める。
長年音楽とは疎遠の彼らが、果たしてオーケストラを編成できるのか、一見荒唐無稽な話だが、しいたげられた人々がトラウマを克服するというシリアスなテーマを、上質のユーモアで包んだ描写が、不思議とすべてを納得させる。
コンサートの演奏曲はチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲、ソリストには世界的に有名なアンヌ=マリー・ジャケを指名して、アンドレイは沈黙の30年間、胸に秘めた思いの長けをコンサートにぶつける。
オーケストラ!(La Concert)
メラニー・ロランが渾身の演奏シーンを披露し、音楽の神が舞い降りた一大クライマックスに、観客は息を詰めて陶酔することだろう。こうして観る者の心を解放し、至福を与えてくれるこの映画に深く感謝したい。
オーケストラ!(La Concert)



オーケストラ!(La Concert) 2時間4分
2月12日から18日まで
毎日10時と20時30分
フランス 監督:ラデュ・ミヘイレアニュ
料金:当日(大人)\1,700 前売券\1,300
(電話予約受付中) 0263-52-0515
於:塩尻・東座(駐車場完備)


〜映画の見方メモ〜
 私の上映会には「通りすがりに時間つぶしのために、ふらっと立ち寄る」方はいません。皆さん、この日は映画を見る、と計画し、スケジュール調整し仕事や家事を片付けてわざわざ来て下さる映画ファンばかりです。ですから当然ながら携帯電話の電源は切って下さいますし、上映中の私語や物音も極力慎んでいらっしゃいます。それは映画に限らず、他人と芸術を共有する場合の最低限の決まり事です。でも芝居やコンサートを観に行くと、必ず無神経な音を出したり携帯の画面を光らせたりする方がいます。そういう方は多分プライオリティーが「そこ」にはないのでしょう。だったら来ないで下さいと言いたくなりますね。ひとつの素晴らしい芸術を他人と一緒に味わう、という歓びは、マナーを守るという思いやりがあってこその感動だと私は思います。



2011/02/10 UP