映画コラムニストの合木こずえです。
映画館で生まれ育ち、役者を目指して 進学し、
結局映画の仕事に戻ったはぐれ者です。
生まれた時からスク リーンの前にいるので、
数限りなく観た映画のシーンが常に頭を駆け巡り、
現実の中にそれを求めて落胆ばかりしています。
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FROM EASTは、
1995年に一旦東京を引き揚げて来たときに作った上映会です。
フランス映画やイギリス映画が大好きなので、
渋谷のBunkamuraル・シネマや銀座のシネ・スイッチ、
日比谷のシャンテ・シネなどで上映される作品を選定して、
日本映画の秀作も織り交ぜ、毎月1本~2本、
1週間または2週間と限定して上映しています。
イタリア映画/2時間6分
7月14日(土)~20日(金)
毎日10:00/20:30
恋はすべての原動力だ。ときには病を治す免疫力をも養う。ここに描かれるのは3つの恋の物語。アメリカ製作の「ラヴ・コメディ」とはひと味違う、大人の男のほろ苦い恋心がいぶし銀のようにズシンと光る。遺跡と文化の街ローマにふさわしいアパートを拠点に繰り広げられる人間模様は、美しい背景とともに、われわれの心をときめかす。
最初は30代の弁護士のお話。アパートに住む恋人サラと結婚の約束を交わしたロベルトは、仕事の依頼でトスカーナに出張する。そこで出会ったコケティッシュな女性ミコルに惹かれ、ロベルトはサラのしつこい電話をうまくかわしながら滞在を延ばす。
二つめは著名なベテラン・ニュースキャスター、ファビオの情動。アパートの住人エリアナに誘惑された彼は、思わず浮気をしてしまう。ところが彼女はエキセントリックで大変な情熱家。その強引な手口に引きずられ翻弄されて、ファビオは人生最大の危機に陥れられる。トリを務めるのは、ボストンからローマに引っ越して2年目の元大学教授エイドリアン。彼は7年前に心臓移植の手術をしたため、今は心臓に負担がかからないよう、いろんな誘惑を拒絶しながらアパートで静かに暮らしている。手術がきっかけで妻とも別れ、独り身の今は悠々自適だが、恋などもってのほか、とすっかり臆病になっている。そんな彼の前にアパートの管理人の娘ビオラが現れる。彼女はパリで問題を起こし、逃げるように実家に帰ってきたばかり。父親に隠した嘘が発覚したことから、エイドリアンを頼るようになり、娘のような彼女に彼は徐々に惹かれてゆく。
イタリアきってのベテラン俳優や人気の若手俳優の、繊細な演技に惹き付けられたあと、三つめのロバート・テニーロVSモニカ・ベルッチの華やかな掛合いに心奪われる。デニーロの流暢なイタリア語に感心し、ベルッチのセクシーな肢体に胸はずませて、二人の不器用で愛しい恋の行方を見守る。男たちの滑稽でいて切ない思いがストレートに響き、彼らの人生に光が射すのを眺めていると、われわれ女性たちも幸せな気分になってくる。
夏の青空を仰ぐような、爽やかなイタリア映画に乾杯!
イタリア映画/2時間6分
7月14日(土)~20日(金)
毎日10:00/20:30
料金 当日券¥1,700 前売券¥1,300(電話予約当日でも可)
東座にて(駐車場完備)
予約・問合せは52-0515
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2012/07/11 UP
私の上映会には「通りすがりに時間つぶしのために、ふらっと立ち寄る」方はいません。皆さん、この日は映画を見る、と計画し、スケジュール調整し仕事や家事を片付けてわざわざ来て下さる映画ファンばかりです。ですから当然ながら携帯電話の電源は切って下さいますし、上映中の私語や物音も極力慎んでいらっしゃいます。それは映画に限らず、他人と芸術を共有する場合の最低限の決まり事です。でも芝居やコンサートを観に行くと、必ず無神経な音を出したり携帯の画面を光らせたりする方がいます。そういう方は多分プライオリティーが「そこ」にはないのでしょう。だったら来ないで下さいと言いたくなりますね。ひとつの素晴らしい芸術を他人と一緒に味わう、という歓びは、マナーを守るという思いやりがあってこその感動だと私は思います。