<心を揺さぶる上映会>FROM EAST

~協力~

fromEast

長野県塩尻市大門4-4-8
Tel:0263-52-0515

~執筆者紹介~

映画コラムニストの合木こずえです。
映画館で生まれ育ち、役者を目指して 進学し、 結局映画の仕事に戻ったはぐれ者です。
生まれた時からスク リーンの前にいるので、 数限りなく観た映画のシーンが常に頭を駆け巡り、 現実の中にそれを求めて落胆ばかりしています。

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FROM EASTは、
1995年に一旦東京を引き揚げて来たときに作った上映会です。
フランス映画やイギリス映画が大好きなので、
渋谷のBunkamuraル・シネマや銀座のシネ・スイッチ、
日比谷のシャンテ・シネなどで上映される作品を選定して、
日本映画の秀作も織り交ぜ、毎月1本~2本、
1週間または2週間と限定して上映しています。

別離

イラン映画/2時間3分
10/13(土)~19(金)
毎日10:00/20:30

テヘランに住むナデルとシミンは、11歳になる娘の将来を考えて国外移住を計画し許可を得るが、一緒に暮らすナデルの父がアルツハイマー病になり中断する。ナデルは父を置いて行かれないと移住を拒み、シミンは娘のためなら離婚も厭わないと主張して裁判に持ち込むが協議は物別れに終わる。その後シミンは実家に移り、銀行努めのナデルは、仕方なく父の世話も兼ねた家政婦ラジエーを雇う。ところがラジエーは敬虔なイスラム教徒であったためナデルの父の体に触れることが出来ない。そんなある日ナデルが帰宅すると、父がベッドに括り付けられ気を失っていた。そこへ戻ったラジエーにナデルは怒り、わけも聞かずに玄関から無理矢理追い出してしまう。その夜、ナデルはラジエーが流産したことを知る。

別離

子どもの養育権を巡り夫婦が争う前半は「クレイマー・クレイマー」を彷彿させるが、ラジエーが関わるようになる後半は一転してサスペンスの様相に変わり、テンポも速まってくる。ナデルはラジエーの夫から子どもを殺したとして「殺人罪」で告訴され、腹を立てたナデルは逆に、父を虐待したとラジエーを訴え、激しい諍いに突入する。イスラーム法では、胎児は受精後120目以降人間として見なされるのだ。

果たして結末は、大きな衝撃とともに観客の心を揺さぶり続けることになる。

別離

長い抑圧から少しずつ解放されてきたイランの女性たちは今、新しい法律に守られ支援を受けて、自分の足で逞しく歩き始めている。新しい世界を求めるシミンと、古い因襲のままイスラム教を支えに生きるラジエーは対照的ではあるが、確固たる信念を持ち、逞しく生きている事実に変わりはない。そんな女性たちの強さにも刺激される秀作。

今年のベルリン国際映画祭で金熊賞をはじめ銀熊賞を主演男優、主演女優ふたりが獲得、さらに出演者全員にも同賞を贈られるという快挙を果たした。アカデミー賞最優秀外国語映画賞も獲得し、今年世界中で最も賞賛された作品である。必見。

別離

イラン映画/2時間3分
10/13(土)~19(金)
毎日10:00/20:30
料金 当日券¥1,700 前売券¥1,300(電話予約当日でも可)
東座にて(駐車場完備)
予約・問合せは52-0515

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2012/10/05 UP

~映画の見方メモ~

私の上映会には「通りすがりに時間つぶしのために、ふらっと立ち寄る」方はいません。皆さん、この日は映画を見る、と計画し、スケジュール調整し仕事や家事を片付けてわざわざ来て下さる映画ファンばかりです。ですから当然ながら携帯電話の電源は切って下さいますし、上映中の私語や物音も極力慎んでいらっしゃいます。それは映画に限らず、他人と芸術を共有する場合の最低限の決まり事です。でも芝居やコンサートを観に行くと、必ず無神経な音を出したり携帯の画面を光らせたりする方がいます。そういう方は多分プライオリティーが「そこ」にはないのでしょう。だったら来ないで下さいと言いたくなりますね。ひとつの素晴らしい芸術を他人と一緒に味わう、という歓びは、マナーを守るという思いやりがあってこその感動だと私は思います。

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